二次創作物の著作権侵害とその注意点について

最終更新日 2024年4月20日

著作権侵害は、作品を作り出した人が持つ権利を他人が侵害することを指します。
著作権はイラストや写真を始め、テキストや音楽、動画とプログラムなども対象なので、権利を持たない人が無断で他人の著作物を利用することにはリスクがあると留意すべきです。
以前は親告罪で、著作権者が告訴しなければ刑事責任を問えないことになっていました。
しかしTPPの影響もあって、2018年に非親告罪化されています。

海賊版の摘発が進むというポジティブな意見も

著作権者が訴えるつもりがなくても二次創作物が処罰されやすくなり、クリエイターのモチベーション低下や文化の衰退を危惧する声が上がりました。
一方では海賊版の摘発が進むというポジティブな意見もあり、売上を守ることに繋がるとの見方も存在します。
ちなみに技術的保護を回避するプログラムの公開や行為の提供、引用における情報源の明示義務違反は、TPP法改正よりも前から非親告罪でした。
非親告罪化によって、著作権侵害は著作権者の告訴なしで捜査が行えるようになっています。

二次創作はグレーゾーンかそれ以上の可能性が高くなる

気になるのはその影響ですが、二次創作はグレーゾーンかそれ以上の可能性が高くなり、他人の著作権について神経を尖らせる必要が出てきたといえます。
例えば既存の他人の著作物の模写は、著作権侵害よりも複製権侵害と判断される可能性が高いです。
個人で楽しむ分には問題ないとしても、SNSやブログで公開してしまうと問題になり得ます。
これは上からなぞるトレースも同様ですし、やはりネットで画像を投稿する時には十分に気をつけた方が良さそうです。
ところが、条件によっては非親告罪の要件にあてはまらず、従来どおり親告罪として取り扱われることもあります。
実は非親告罪には対象となる要件があり、商品の海賊版を販売したり、映像作品の海賊版をネット配信することなどが該当するとされています。
この点は今も昔も変わらず犯罪行為ですし、権利が侵害された側は厳しく対応するでしょう。

申告と非申告のポイントは原作のままかどうか

申告と非申告のポイントは原作のままかどうかで、原作の複製を対価を得る目的で販売したり配信すると非親告罪の対象です。
パロディ作品のネットにおける投稿は、原作のままの要件を満たさないので親告罪で著作権者の判断に委ねられます。
いわゆるコミケにおける二次創作物の販売は、対価を得る目的ではあっても原作のままではないです。
ただし利益が不当に害されるか否かで判断が分かれますから、必ず親告罪になるとは限らずグレーゾーンです。
このように非親告罪化の影響は二次創作に限れば小さいので、二次創作物をネットで自由に公開できないような息苦しさはないといえるでしょう。
とはいえ二次創作が著作権の違法行為にあたるのは間違いなく、著作権者による著作権侵害の訴えがなくても、それはまだ知られていないか黙認されているいずれかです。
何の前触れもなくいきなり訴えられることは殆どないにしても、著作権者が二次創作物の公開を止めるようにいえば、その要求に従う必要があります。

権利者からコンタクトがあれば速やかに対応するのが賢明

著作権者の訴えを無視して公開を続ければ裁判になってもおかしくないので、権利者からコンタクトがあれば速やかに対応するのが賢明です。
二次創作は原作あってのパロディですから、著作権者がNOといえばNOですし、著作権侵害で訴えられれば勝ち目はないです。
二次創作が親告罪のままなのは、世の中に溢れる作品の数が膨大で、全てを取り締まるのは現実的に難しいことが理由の1つだと考えられます。
また大半の作品は原作者にとって無害で、むしろ原作を世に広めてくれる存在として黙認しているところがあります。
直接的な利害関係とはいえませんが、お互いにとって部分的に利害が一致している部分もあるわけです。
といっても著作権侵害に対する態度は人によって大きく異なり、自由な創作を認める人もいれば、二次創作を全く認めないという人もいます。
この為、安全に創作を楽しむには原作の二次創作に関するガイドラインに目を通し、ルールの中で作品作りをすることをおすすめします。

著作権者がグッズ販売をNOとしている場合は禁止

二次創作のグッズ販売についても、著作権者の判断いかんで告訴されることもあり得ますから、事前に確かめた上で決めることが必要です。
著作権者がグッズ販売をNOとしている場合は禁止なので、対価を得る為に販売することは不可能となります。
個人で楽しむ目的で作ったり、作品の写真をネットに投稿する程度なら問題ないです。
訴えられなければ大丈夫と強引にグッズ販売に乗り出せば、突然訴状が届くことになっても不思議ではないので要注意です。
ガイドラインが発表されている作品は、内容に目を通して認められている範囲の確認を行い、グッズ販売がOKであれば作って売ることができます。
ガイドラインが存在しない作品はグレーゾーンで、グッズを販売しても黙認される可能性もあれば、訴えられてしまう可能性もあるでしょう。

まとめ

裁判所により侵害が認められれば、10年以下の懲役または1000万円の罰金や併科と、損害賠償もついてくることがあるので、安易に対価を得る販売はしないのが無難です。
法人の罰金は3億円以下と高額なので、個人より権利侵害の罰則が重いことからより注意を要します。

著作権侵害 事例